2010年1月9日土曜日

さらに狂はじ

今年の観能始めは、大津伝統芸能会館で催された
「新春さざなみ能」の『弱法師 盲目之舞』でした。


同会館が毎年主催されている「能オンステージ」という
シリーズ企画です。「『〇〇』をめぐる能探訪」という
サブタイトルが付いて、前年に二回のレクチャーがあり、
三回目は「新春さざなみ能」として、年明け早々に
能公演が行われます。今回は「『弱法師』をめぐる
能探訪Part.3」ということであります。私は今回のみ
参加致しました。

『弱法師』という曲。モチーフとして、文楽、歌舞伎、
現代劇と様々に脚色されています。中でも私にとって
印象深いのは平成17年10月27日、国立文楽劇場で聴いた
故桂吉朝の『弱法師』(『菜刀息子〈ながたんむすこ〉とも)です。
あれからもう四年余りの年月が経つのですね。

さて、能の『弱法師』です。会の冒頭で、本日のおシテ自らの
解説がありました。教えて頂いたのは、「梅の花」がとても
重要な意味を持っているということ。視力を失った主人公の
青年にとって、梅の香りは花を賞翫する大切な手立て。
物語の舞台は津の国四天王寺。

 難波津に咲くやこの花冬ごもり 今は春べと咲くやこの花

古今集の歌が響いているとのこと。後世、桜とされる「この花」。
詠まれた当時は梅を指していたとのこと。この辺りの変化は
和歌全般にみられる所でありましょうか。

浄土の光の中、梅の香りに包まれて舞う弱法師。
ハッピーエンドということもあり、新春、早春に相応しい
舞台でありました。

旧暦〔霜月廿五日 十二月節小寒〕

Posted by Picasa

2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    ちょくちょく寄らせてくださいませ。
    弱法師、一度は見たいと思うのですが、いまだチャンスが
    訪れず・・・。

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  2. >kaborin0829さん

    初めまして。ようこそお越しくださいました。
    ありがとうございます。表示するのが遅く
    なりまして申し訳ございません。

    お能がお好きでいらっしゃるようですね。
    気儘な更新で恐縮でございますが、
    またどうぞ覗いてやってくださいませ。

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