五十年も人間をやっていますというと、
色々と思わぬ経験をさせて頂くものです。
老人ホームを慰問して昔の懐メロを歌わせてもらったり。
此の度は、高校へ出向いて生徒さん達に陶藝の
出前授業をさせて頂いてきました。
石川啄木は故郷渋民村の小学校に奉職した際、
「日本一の代用教員」たらんと欲したとの顰みに倣い、
吾輩も「日本一の一日代用教員」を目指して臨みました。
最近の作品であります「白瓷 香炉」を見てもらいながら、
陶器と磁器の違いをお話しました。それから、普段製作に
使っている道具を見てもらいつつ、陶藝の工程について、
大まかにお話させて頂きました。
何分慣れないことで、生徒諸君にはご退屈様であったろうと
思いますが、みんな頑張って耳を傾けてくれました。
その後、粘土を用いて実作の手ほどき。
難度が高いので、どうかなとは思いましたが、折角の機会ですし
課題を「蓋物」にしました。どういう形でもいいので、身と蓋とに
分かれるものをということで取り組んでもらいました。
正味一時間ほどしか時間がありませんでしたが、
校時の間の休憩も返上して手を動かしてくれていました。
紐作りでボリュームを作ってから四角くする人や、
同じく紐作りで卵形を作り、それを糸で切って身と蓋に
分ける人。塊で造形しておいてそれを糸で切って、
中をくり抜くという技法を試みる人。短い時間なのに、
色んな工夫や個性が感じられたのが嬉しかったです。
「日本一の一日代用教員」の授業は夢の間でした。
得難い体験をさせてくださった、京都府立京都八幡高校
工芸コース担当のF先生、そして生徒の皆さん、
本当に有難うございました。
旧暦〔睦月十二日 一月中雨水〕
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