2010年2月25日木曜日

出前授業

五十年も人間をやっていますというと、
色々と思わぬ経験をさせて頂くものです。
老人ホームを慰問して昔の懐メロを歌わせてもらったり。
此の度は、高校へ出向いて生徒さん達に陶藝の
出前授業をさせて頂いてきました。

石川啄木は故郷渋民村の小学校に奉職した際、
「日本一の代用教員」たらんと欲したとの顰みに倣い、
吾輩も「日本一の一日代用教員」を目指して臨みました。

最近の作品であります「白瓷 香炉」を見てもらいながら、
陶器と磁器の違いをお話しました。それから、普段製作に
使っている道具を見てもらいつつ、陶藝の工程について、
大まかにお話させて頂きました。
何分慣れないことで、生徒諸君にはご退屈様であったろうと
思いますが、みんな頑張って耳を傾けてくれました。

その後、粘土を用いて実作の手ほどき。
難度が高いので、どうかなとは思いましたが、折角の機会ですし
課題を「蓋物」にしました。どういう形でもいいので、身と蓋とに
分かれるものをということで取り組んでもらいました。

正味一時間ほどしか時間がありませんでしたが、
校時の間の休憩も返上して手を動かしてくれていました。
紐作りでボリュームを作ってから四角くする人や、
同じく紐作りで卵形を作り、それを糸で切って身と蓋に
分ける人。塊で造形しておいてそれを糸で切って、
中をくり抜くという技法を試みる人。短い時間なのに、
色んな工夫や個性が感じられたのが嬉しかったです。

「日本一の一日代用教員」の授業は夢の間でした。
得難い体験をさせてくださった、京都府立京都八幡高校
工芸コース担当のF先生、そして生徒の皆さん、
本当に有難うございました。

旧暦〔睦月十二日 一月中雨水〕

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