2009年12月27日日曜日

笑門来福


「乱能」、他の伝統藝能では「天地会」と
呼ばれることもあるそうです。天地とは上下を
逆様にすること。昔、梱包された荷物に
「天地無用」と書かれていることがありました。
これは即ち、上下をひっくり返しては
なりませんという注意書きであった訳です。


能の世界には、シテ方、ワキ方、囃子方、狂言方と
職掌が分かれており、それらは専門職でありまして
一人の役者さんが同時期に兼職することはありません。
その専門を故意に取り替えて舞台を勤められるのが
「乱能」です。

全国の薪能ブームの嚆矢となった「京都薪能」。
今年で六十回を迎えたのを記念して
「祝賀乱能」が金剛能楽堂で挙行されました。

京都能楽会理事長の茂山七五三師がご挨拶の中で、
「以前は能の役者が研鑽の為に開催していたと
聞いています」と話されていましたが、昨今では
祝祭的性格が強くなって皆で楽しみましょうという
雰囲気の会になっています。

トチリ有り、吉本新喜劇風演出有りで笑いの絶えない
能楽堂でしたが、逆に普段笑いを提供されている
狂言方茂山千五郎家の御大、千作、千之丞ご両師が
一調『放下僧』『船弁慶』をそれぞれ熱演され、
見所も真剣に聴き入っていたように思います。
お元気なお姿を拝見できて本当に嬉しかったです。


ロビーには菰樽も据えられ、喜びの酒「松竹梅」が
振舞われていました。

旧暦〔霜月十二日 十一月中冬至〕

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